城  批評(レビュー)  城

はじめに

この批評(レビュー)は、まだ信長の野望大志をプレーしたことがない方のために、ゲームの概要と個人的な批評を紹介したものです。購入の参考になさる方は、人によって違った楽しみ方、違った評価があることを理解した上で、お読みください。

信長の野望大志パワーアップキットの批評(レビュー)

信長の野望大志パワーアップキットは、委任の設定が充実しています。委任できる範囲が広いですし、細かな条件も付けられます。委任してもおかしなことはしないので、面倒な作業は全部委任にしても大丈夫なくらいです。ある意味、大名プレイです。

新要素で良かったのが大命です。システム自体は目新しくないのですが、効果がかなり特徴的です。足利の包囲網や本願寺の一向一揆など、固有大命はだいたい凶悪です。

合戦では、合戦前の罠と施設、攻城戦が追加されたのですが、正直、購入一日で飽きます。特に罠は、敵の設置場所や避け方が不自然なこともあり、発売直後からチート疑惑が出ています。(プロデューサーはチートを否定)

無印版から合戦システムも変更されたのですが、評判は悪いです。合戦の勝利条件が総大将部隊の撃破だけになったため、無印版のように寡兵で勝つことはほぼ無理です。戦法ゲージが軍勢共通になったため、主力となる戦法以外は発動機会が激減しました。

個人的に一番がっかりしたのが、言行録です。追加された数が少なく、言行録にしてもよさそうな内容が、ただ眺めるだけのイベントになっています。信長の野望 創造 戦国立志伝の大坂の陣はなかなかの力作だったのですが、今回は一戦のみのシンプルな内容になっています。手抜きですよね。

パワーアップキットで追加された調略はおおむね好評ですが、忠誠を上げる感状が現実にそぐわないシステムです。初志言行録を達成すると、どこからか金銭や兵糧や感状が湧いてきます。古参が頑張った結果、新参に感状が授与されます。敵武将も忠誠が上がるのですが、プレイヤーと同条件かは疑問です。単純に金銭で忠誠を上げれば良かったのではないでしょうか。

全国モードとは別に地方モードが追加されました。地方モードの特徴は、「各地方を統一する」「初期外交関係は全て中立」「言行録と歴史イベントはなし」です。この劣化版ルールに、何の面白さがあるのでしょう。

アップデート次第で面白くなる可能性も十分にあったのですが、発売後の対応は近年のコーエー作品でも酷い部類です。ユーザーの要望は無視し、ユーザーが見つけた攻略法を潰し、強い効果を弱体化しているだけです。不具合修正とバランス調整は、本来、発売前のテストプレイで済ませておくべき内容ですので、実質的な強化はゼロです。アップデートが嬉しくないのは、大志パワーアップキットが初めてです。

信長の野望シリーズと三国志シリーズの中で、大志パワーアップキットほど一瞬で飽きた作品はありません。ストラテジーを楽しみたいなら創造パワーアップキット、個性や育成を楽しみたいなら三國志13パワーアップキット、創造パワーアップキットも三國志13パワーアップキットもプレイした方にはRimWorldをおすすめします。

- おすすめ度 -
★★☆☆☆

信長の野望大志の批評(レビュー)

信長の野望大志は、前作の創造を踏襲した部分が多いです。具体的には、外交システム、決戦(会戦)システム、クエスト方式の歴史イベント、農兵(領民兵)足軽(常備兵)システム、忠誠の加点減点方式などです。これらは創造の頃から評判が良かったので、大志もおおむね良くできています。

大志の新要素で良かったのは、志システムです。勢力によって得意なことと苦手なことがはっきりと分かれるため、勢力ごとに異なる戦略でプレイできます。創造では、どの勢力も結局は同じような攻略方法だったので、この点は進化と言えます。

志はAIにも影響しているのですが、これに関しては調整不足ではないかと感じます。今の設定では好戦的なので、内政や言行録を楽しむには不向きです。

発売当初の大志は、内政にかなり問題があったのですが、2018年3月のアップデートで改善され、全国規模の箱庭内政が可能になりました。

決戦(大志では合戦を決戦と呼ぶ)は、創造パワーアップキットの会戦を少しずつ改善した内容と言えます。特に、視界と先読みが面白いです。強制的だった決戦の操作も、アップデートで任意になりました。

iOS/Android版を想定したのが原因か、発売当初は全体的にユーザーインターフェイスが悪かったのですが、アップデートの度に改善されています。

何度かのアップデートで悪い部分が改善され、無印版としては充実した内容になりました。それでも評価が上がらないのは、追加シナリオが全部有料ということと、新勢力作成機能が依然として追加されないことではないでしょうか。この2点については、私も非常に残念です。

- おすすめ度 -
★★★☆☆

2018年4月のアップデートの批評

外交で兵糧を要求して同盟を結ぶという、デメリットなしの兵糧獲得方法があったのですが、これが今回のアップデートで修正されました。修正後も似たような方法で兵糧を入手できますが、必ずしも裏技に頼らなくても大丈夫なバランスにはなっていると思います。

志も2つ追加されたのですが、それらは有料ダウンロードコンテンツのシナリオに登場する大名の志ですので、アップデートの追加要素というより、ダウンロードコンテンツの販売促進に近いです。

その他にもアップデートの項目は多いのですが、ユーザーインターフェースの改善や不具合の修正などで、遊びの幅が広がるような機能はありませんでした。5か月前に発売されたゲームですので、これ以上の機能追加はパワーアップキットまで待つしかないのでしょう。

2018年3月のアップデートの批評

今回のアップデートで、郡単位で施設を建設できるようになりました。全国全土の箱庭内政というのは、烈風伝以来です。発売当初は、武将の内政能力が無意味だったり、合戦に参加しない武将はほぼ仕事がなかったのですが、開発コマンドによって全武将に仕事が生まれました。これは大きな改善です。

アップデートの内容から開発者の頑張りというものはひしひしと伝わって来るのですが、時間的な余裕がなかったのか、少々残念な部分もあります。

施設の描写が小さすぎて、至近距離までズームしない限り、視覚的に町の発展を感じることができません。せっかくの箱庭内政なのに、全国マップ上に記号が並んでいるだけになっています。将星録、烈風伝、革新、天道のような分かりやすいサイズで良かったのではないでしょうか。

また、開発条件のバランスが悪いです。金銭収入と兵糧収入の施設には建設条件があって、鉄砲と軍馬の施設には条件がないため、郡の大半が鍛冶村か牧場になってしまいます。なぜ商人町に条件を付けてしまったのでしょうか。

他のアップデートは、操作性やインターフェイスを改善するものです。発売当初の不便さを知っていると、大幅にプレイしやすくなっています。これでようやく普通になりました。

不満はまだまだありますが、少なくとも、今後のアップデートやパワーアップキットに期待できるくらいの形にはなったと思います。大志を買うか迷っていらっしゃった方は、そろそろ決断しても良い頃だと思います。

2018年1月のアップデートの批評

決戦スキップは、ユーザーからの要望が多かった機能です。ただ、ゲーム発売1週間後の緊急アップデートならこの形でも良いですが、発売40日後のアップデートでする内容としては不十分です。

まず、敵の兵が次々湧いてくるのが根本的問題で、その結果として決戦が多くなり、ユーザーの多くが決戦を面倒に感じたのです。敵の兵がすぐに復活する問題を残したまま決戦スキップを導入しても、単に消耗戦になるだけです。そのようなゲームをユーザーは求めていませんし、開発者も決戦スキップでは面白くならないことに気付いていたはずです。

敵の兵が次々湧いてくる現状をどうするかが改善です。例えば、「決戦に敗北した兵は、追い討ちや落ち武者狩りで半数が死亡し、残りは負傷兵か非戦地の流民になる」「戦意低下で募兵速度が大幅に遅くなる」の2点を導入します。これで、決戦に敗北した小勢力は滅亡か従属しか未来はなくなり、大勢力でも負ければ領土の割譲くらいは迫られます。決戦とは、本来こういう意味です。

その他の大きな変更点は、決戦で鉄砲関連の戦法が発動しやすくなったことです。鉄砲集団を編成すると、長篠の戦いのような爽快な勝ち方もできます。

個人的には、「決戦後の死傷者の調整」「募兵速度の調整」「外交コマンドの充実」「決戦スキップ」「新勢力作成」くらいのアップデートを期待していましたので、少々がっかりしています。今回のアップデートは、改善というよりも、本来あるべき機能が40日遅れで追加されたという印象です。

大志を買うか未だに迷っていらっしゃる方は、もうしばらく様子見した方が良いかも知れません。現状、大志の評価は芳しくないのですが、これが改善する兆しも見えません。